リノベーションという選択肢
いま、家づくりの常識が変わりはじめている
住宅価格の高騰、資材費の上昇、金利の先行き不透明感。
「本当は注文住宅を建てたい。でも予算が合わないかもしれない」
そんな不安を抱えるご家族が増えています。
一方で、空き家は全国的に増え続けています。
総務省の統計では空き家数は年々増加傾向にあり、地方都市でも深刻な問題になっています。
新築が高くなり、既存住宅が余っている。
この“ねじれ”の中で、いま改めて注目されているのが**中古住宅購入+フルリフォーム(リノベーション)**という選択肢です。
本コラムでは、
・リフォームとリノベーションの違い
2・025年4月法改正によるリフォームの大規模化
・断熱・耐震リフォームの重要性
・空き家問題と住宅取得難民の現状
・中古住宅+フルリノベという新しい家づくりの形
を、施主目線でわかりやすく解説します。
宮下 和大 / Takahiro Miyashita
一級建築士 / 一級建築士事務所 宮下建築 開設者
らくがき設計事業部 主宰(静岡県・伊豆の国市)
大工歴50年以上の父とともに工務店を運営し、「らくがきからはじまる家づくり」をコンセプトに 、新築住宅・リフォーム・リノベーション・タイニーハウス・中古住宅+インスペクションまで幅広く手がける一級建築士。
住宅はもちろん、社寺などの非住宅建築にも対応し、設計から施工まで一貫した家づくりを行っています。
私たちが大切にしているのは、施主の想いを最大限に生かす“施主主導の設計”。
間取りの検討から素材選びまで、施主が「自分で設計した」と実感できる家づくり体験を提供しています。
デザインだけでなく、コスト・断熱・耐震など建築の基本性能もしっかり押さえ、ライフスタイルに合った
“ちょうどいいサイズ”の住まいをご提案。地元工務店ならではの柔軟な対応と長期的なサポートで
安心して暮らせる家づくりを目指しています。
リフォームとリノベーションの違いとは?
まず整理しておきたいのが、「リフォーム」と「リノベーション」の違いです。
単なる言い換えではありません。
違いは大きく 4つの要素 で整理できます。
① 規模感の違い
リフォーム
・壊れた部分を直す
・古くなった設備を交換する
・内装を張り替える
例:キッチン交換、外壁塗装、クロス張替えなど。
リノベーション
・間取り変更
・構造補強
・断熱改修
・性能向上工事
例:和室をLDK一体化、耐震補強+断熱改修を同時実施など。
つまり、 リフォーム=原状回復型
リノベーション=性能向上型
という違いがあります。
② 付加価値創造の有無
リフォームは「マイナスをゼロに戻す」工事。
リノベーションは「ゼロをプラスにする」工事です。
・耐震等級を上げる
・断熱等級を上げる
・家事動線を最適化する
・資産価値を高める
これらはすべて付加価値の創造です。
特に近年は、「快適性」「光熱費削減」「将来売却時の評価」まで視野に入れた工事が求められています。
これは明確にリノベーション領域と言えるでしょう。
③ 性能基準への対応
2025年4月の建築基準法改正により、省エネ基準への適合義務化がスタートしました。
これにより、増改築や大規模修繕時にも省エネ性能への配慮が求められる場面が増えています。
つまり、 「ちょっと直す」だけでは済まないケースが増えたのです。
・断熱材を入れ替える
・窓を高性能サッシにする
・気密性能を改善する
こうした工事は小規模リフォームではなく、明確に性能改修型リノベーションです。
④ 将来設計への影響度
リフォームは短期視点。 リノベーションは長期視点。
・子どもが成長したらどうなる?
・老後は?
・売却や賃貸の可能性は?
人生設計とセットで考えるのがリノベーションです。
2025年4月法改正がもたらした変化
2025年4月の法改正は、住宅業界にとって大きな転換点でした。
省エネ基準適合義務化 新築住宅はもちろん、増改築にも一定の基準適合が求められるケースが増えました。
これにより、 「壁だけ直す」 「床だけ直す」 といった部分的な工事でも、断熱・気密・結露リスクへの配慮が必要になっています。
断熱リフォームの大規模化
断熱性能を上げようとすると、
・外壁を剥がす
・床を解体する
・天井裏を改修する
結果として工事は大規模になります。
特に窓改修(内窓・高性能サッシ)は、体感温度を大きく改善します。
光熱費削減効果も大きく、国の補助制度も充実しています。
もはや断熱改修は「贅沢」ではなく「必須」に近づいています。
耐震リフォームの再評価
1981年以前の旧耐震基準住宅はもちろん、2000年以前の住宅でも構造バランスに不安があるケースは少なくありません。
・壁量不足
・接合部金物不足
・基礎クラック
耐震補強を行う場合、内装を一度解体する必要があります。
そのタイミングで断熱も同時改修する。
結果として、工事は「フルリフォーム」に近い規模になります。
リフォームはなぜ大規模化しているのか?
理由は明確です。
✔ 光熱費高騰
✔ 断熱基準強化
✔ 地震リスク意識の高まり
✔ 補助金制度の充実
小さく直すより、 「どうせやるなら一気に性能を上げたい」 という考えが増えています。
つまり、従来の小規模リフォーム中心市場から、 性能向上型リノベーション市場へ移行している ということです。
空き家問題と住宅取得難民
日本の空き家率は増加傾向にあります。
一方で、新築価格は上昇を続けています。
土地+建物で4,000万円、5,000万円が当たり前の時代。
「家が欲しいのに買えない」 そんな住宅取得難民が増えています。
ここで注目されるのが、 中古住宅購入+フルリノベーション という選択肢です。
中古住宅+フルリノベのメリット
① 総額を抑えられる
例:中古住宅1,500万円 フルリノベ1,200万円 合計2,700万円
新築より1,000万円以上抑えられるケースもあります。
② 立地が選べる
人気エリアでは土地が出ません。
しかし中古住宅は存在します。
立地を優先し、建物は作り替える。
これは合理的な選択です。
③ 性能を新築並みにできる
最新の建材や工法を正しく組み合わせ、取り入れることで
☆断熱改修
☆耐震補強
☆設備刷新
これらを行えば、体感性能はほぼ新築水準まで引き上げ可能です。
④ 空き家活用につながる
使われていない家を再生することは、地域の景観維持にも貢献します。
社会的意義のある住宅取得とも言えます。
いま、注文住宅と迷っている方へ
「注文住宅が理想だけど、予算が…」 その悩みは自然です。
しかし発想を少し変えてみてください。
・土地を探す
・中古住宅を探す
・構造を見極める
・設計士と間取りを再構築する
これはある意味、注文住宅と同じプロセスです。
むしろ、既存建物という制約がある分、 創意工夫が生まれます。
苦労して考えてこだわった結果より一層愛着が増すでしょう。
これからの家づくりは“超再生型”へ
新築一択の時代は終わりつつあります。
✔ 空き家増加
✔ 法改正による性能重視
✔ 住宅価格高騰
この3つが重なり、 フルリノベーションは間違いなく今後の主流になっていくと考えられます。
リフォームとリノベーションの違いは、
・規模感
・付加価値創造
・性能基準対応
・将来設計視点
この4つで明確に分かれます。
2025年の法改正は、 リフォームを「性能改修型リノベーション」へと進化させました。
そしていま、 注文住宅を諦めかけている方にとって、 中古住宅+フルリノベーションは、現実的で賢い選択肢です。
家づくりは「新しく建てる」ことだけではありません。
「再生する」こともまた、未来をつくる方法であり、未来を担う責任です。
住宅取得難民にならないために。
また空き家問題の解決にもつながる選択として、ぜひ一度「中古住宅+性能向上型リノベーショ
ン」という可能性を検討してみてください。
家づくりの形は、これからもっと自由になります。
まずは「物件探しの前」にご相談ください
中古住宅+フルリノベーションという選択肢は、 物件を購入してからではなく、“購入前”の判断がすべてです。
・この建物は耐震補強が現実的か?
・断熱改修でどこまで性能を上げられるか?
・総額はいくらになるのか?
・新築と比較して本当に得なのか?
これらは、建築の専門家(一級建築士)の中でも
☆既存住宅状況調査士(インスペクター)
☆耐震診断士
☆空き家再生診断士
という特化型の知識を持つ人が入らなければ正確に判断できません。
当事務所では、 中古住宅の内覧段階から先ほど紹介した資格を持つ建築士が同行し、
構造・断熱・劣化状況を確認した上で、 「購入+リノベ」の総額シミュレーションをご提示しています。
注文住宅を検討している方も、 予算の不安から一歩踏み出せない方も、 空き家をどう活用すべきか迷っている方も。
まずはお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。
また、Instagramでは実例や補助金情報を随時発信しています。
家づくりは“建てる”だけではありません。
「再生する」という選択肢を、あなたの未来設計に加えてみませんか。
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