中古物件購入+リフォームという賢い選択
変わりゆく住宅選びの潮流と2025年度の制度変化を踏まえて
近年、特に30代の夫婦のあいだで、中古物件の購入とリフォーム(リノベーション)を組み合わせた住まいづくりが注目されています。
新築住宅を購入するのではなく、中古住宅を“暮らしに合う形に整える”という選択は、単なるコスト削減ではなく、未来の暮らし方そのものをデザインする賢い方法として支持されてきています。
その背景には、住宅価格の上昇だけでなく、家族構成や働き方の多様化といったライフスタイルの変化があります。
そして2025年4月から施行された建築基準法改正は、中古リフォームを検討する上で無視できない制度変化として、私たちの選択に新たな視点を加えています。
本コラムでは、
・中古物件+リフォームが選ばれる理由
・2025年の建築基準法改正ポイント
・これからの暮らしを視野に入れた中古活用
の考え方 をわかりやすくお伝えします。
宮下 和大 / Takahiro Miyashita
一級建築士 / 一級建築士事務所 宮下建築 開設者
らくがき設計事業部 主宰(静岡県・伊豆の国市)
大工歴50年以上の父とともに工務店を運営し、「らくがきからはじまる家づくり」をコンセプトに 、新築住宅・リフォーム・リノベーション・タイニーハウス・中古住宅+インスペクションまで幅広く手がける一級建築士。
住宅はもちろん、社寺などの非住宅建築にも対応し、設計から施工まで一貫した家づくりを行っています。
私たちが大切にしているのは、施主の想いを最大限に生かす“施主主導の設計”。
間取りの検討から素材選びまで、施主が「自分で設計した」と実感できる家づくり体験を提供しています。
デザインだけでなく、コスト・断熱・耐震など建築の基本性能もしっかり押さえ、ライフスタイルに合った
“ちょうどいいサイズ”の住まいをご提案。地元工務店ならではの柔軟な対応と長期的なサポートで
安心して暮らせる家づくりを目指しています。
なぜいま「中古住宅+リフォーム」が選ばれるのか?
まず最初に押さえておきたいのは、住宅選びの価値観が大きく変わっているということです。
家を買うという意識が変化している
従来の住宅取得には、
・新築にして安心したい
・一生住む家だから性能は妥協したくない
・子どもができたら広い家が必要
といった動機がありました。
しかし、若い世代では次のような考え方が広がっています。
・住まいは暮らしの道具であり、柔軟に変えていくべき
・街や暮らし方の変化を楽しみたい
・一部分だけ、自分らしくカスタマイズしたい
つまり、「暮らしぶりと住まいを一致させたい」というニーズが強くなっているのです。
コストと暮らしのバランス
中古物件+リフォームの最大のメリットのひとつは、 コストを抑えつつ暮らしを整えられることです。
新築住宅は確かに最新の状態ですが、立地や面積を優先すると価格が大きく膨らむことがあります。
その点で、中古物件市場には
・立地が良い
・物件が手に入りやすい
・築年が経っていても良い構造の家がある
・好みの間取りに変えて暮らせる
という魅力があります。 これが30代という、これから住宅ローンや子育て支出などが重なる世代にとって大きな“選びやすさ”につながっています。
取得時に最低限生活ができる機能に+@程度のコストをかけて、段階的に財布と相談しながら価値を積み上げていく、背伸びしない住まいづくりがゆとりをもたらします。
2025年の建築基準法改正がリフォームに与える影響
2025年4月1日から、建築基準法(および関連する省エネ法)が改正され、リフォームに関する手続きが大きく変わりました。
これは中古物件を活かすうえで重要なポイントになります。
4号特例の縮小・廃止
従来、小規模な戸建て住宅では「4号特例」と呼ばれる確認申請の簡略制度があり、一定のリフォームでは建築確認申請が不要でした。
しかし、改正によってこの特例の範囲が縮小され、木造2階建て住宅の大規模リフォームでも建築確認申請が必要になるケースが増えています。
これは、リフォームの自由度が下がるというネガティブな面だけでなく、リフォーム計画を立てる過程で「安全性・省エネ性能を確保する」という側面を強化したとも言えます。
住宅省エネルギー基準や耐震性などへの適合が求められる場面が増えるため、設計段階でプロのチェックがより重要になっています。
確認申請の対象が増える
改正後は、以前は対象外だったようなリフォームでも、確認申請の対象になるケースが増えています。
例えば、主要構造部(柱・壁・床・梁・階段など)を大規模に修正・変更する場合や、全体をスケルトン化して内部構造を変えるようなリノベーションでは、確認申請・審査が必須になります。
この結果、
・設計図面や構造計算書が必要になる
・リフォーム計画に時間がかかる可能性
・適合させるための追加工事が出る可能性
といった事前把握が欠かせません。
法改正が「中古+リフォーム」の運用にもたらす変化
法制度の変更は、一見“面倒”な面ばかりがクローズアップされがちですが、実は中古を活かすメリットを強化する側面もあります。
安全性と資産価値の向上
確認申請が必要になるということは、 リフォーム後の住宅が、今の安全・省エネ基準を満たしているという証明になり得ます。
これは、将来の売却や賃貸化を見据えた際にも資産価値の向上につながる可能性があります。
古い建物を活かしながらも、最新の基準に合わせて安心して暮らせる住宅に生まれ変わることが期待できます。
既存不適格建築物でも“チャンス”になる
既存不適格建築物とは、昔の基準で建てられたため今の基準に合わない建物です。
しかし、2025年改正の枠組みで「規制を緩和しつつ適合させる仕組み」を活用できるケースも出てきています。
適切な設計と申請手続きによって、既存不適格物件でも使い続けられる道が開ける可能性があるのです。この点は、中古物件を探している人にとって大きな安心材料になります。
法制度が必ずしも“改装不可”を意味するわけではなく、 専門知識によってポテンシャルを引き出すことができるという見方が重要です。
中古住宅リフォームを成功させるための考え方
中古物件を活かすうえで重要なのは、単に物件を見つけることではありません。 暮らし方のビジョンと制度理解を組み合わせることが成功の鍵になります。
生活スタイルを明確に描く
家族構成、在宅時間、趣味、将来変化の可能性など、 暮らしのシーンを具体的に描きましょう。
それがリフォーム計画の軸になります。
初期調査をしっかり行う
築年数、構造、耐震性、断熱性、設備の更新状況を確認しましょう。
必要に応じて専門家によるインスペクション(住宅診断)を受けるのがおすすめです。
法制度の“要・不要”を整理する
改正建築基準法の対象になるリフォームは何か、 どの程度の簡略施工で済むのかを整理します。 これは専門家と一緒に進めることで、 予期せぬ手続きや費用を回避することができます。
設計の初期段階から確認申請を視野に入れる
確認申請の対象になるリフォームでは、 最初から必要書類を揃えること・法適合工事計画の方向性を設計段階で決めておくことが重要です。
これによって、予算や工期をコントロールしやすくなります。
中古+リフォームという選択は、暮らしの幅を広げる
中古住宅の購入とリフォームは、 古い物件を生かすだけでなく、 暮らしの自由度を高める選択肢でもあります。
・好みの立地を選べる
・戸建て・マンション問わず選択肢が増える
・家族の暮らし方に合わせて間取りや設備が変えられる
・将来のライフスタイルに対応できる
そして、 計画段階から制度の変化を理解する専門家に相談することで、 予期せぬ追加費用や手続きの負担を最小化することができます。
これからの住まいは「作る」ではなく「活かす」
中古物件+リフォームは、 単なるコストダウンではなく、 暮らしを自分たちのスタイルに合わせてつくり直すプロセスです。
そして2025年の建築基準法改正は、 そのプロセスをただ厳しくするものではなく、
・安全性
・省エネ性
・構造の安心感
といった付加価値を与える制度でもあります。
法改正は決してリフォームへの障壁ではなく、 暮らしの質を高めるチャンスでもあります。
これから家探しをする30代のあなたにとって、 「中古をどう活かすか」を考えることは、 住まいのコストと自由を両立する一つの答えになるはずです。
まずは専門家と一緒に、 物件の可能性と法制度のメリット・デメリットを整理してみましょう。
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