地域工務店が考える「おすすめ断熱構成例」

query_builder 2026/01/18
コラム
地域にあった快適な暮らし

数値より“暮らし”を重視した現実的な断熱の考え方


断熱材の種類やグレードを比較していくと、 多くの施主が次の疑問に行き着きます。

「結局、どれを選べばいいのか分からない」 これは当然の感覚です。

なぜなら、断熱材は単体で性能が決まるものではないからです。


地域工務店として家づくりに向き合う中で、 私たちが大切にしているのは、

・その地域の気候

・その家族の暮らし方

・長く住み続ける現実

を前提にした、無理のない断熱構成です。


本コラムでは、 地域工務店の視点から考える 「おすすめできる断熱構成例」を、いくつかのパターンで紹介します。

この記事を書いた人

宮下 和大 / Takahiro Miyashita

一級建築士 / 一級建築士事務所 宮下建築 開設者
らくがき設計事業部 主宰(静岡県・伊豆の国市)

大工歴50年以上の父とともに工務店を運営し、「らくがきからはじまる家づくり」をコンセプトに 、新築住宅・リフォーム・リノベーション・タイニーハウス・中古住宅+インスペクションまで幅広く手がける一級建築士。

住宅はもちろん、社寺などの非住宅建築にも対応し、設計から施工まで一貫した家づくりを行っています。

私たちが大切にしているのは、施主の想いを最大限に生かす“施主主導の設計”。
間取りの検討から素材選びまで、施主が「自分で設計した」と実感できる家づくり体験を提供しています。
デザインだけでなく、コスト・断熱・耐震など建築の基本性能もしっかり押さえ、ライフスタイルに合った
“ちょうどいいサイズ”の住まいをご提案。地元工務店ならではの柔軟な対応と長期的なサポートで
安心して暮らせる家づくりを目指しています。

一級建築士(大臣登録361765号) 既存住宅状況調査技術者(インスペクター) 木造住宅・リフォーム設計 / 監理 伊豆の国市・函南町・伊豆市・三島市・裾野市・御殿場市・沼津市.etc
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まず大前提:断熱は「構成」で考える


断熱を考えるとき、 どうしても「断熱材の種類」に目が行きがちです。

しかし実際には、

・断熱材

・気密

・換気

・日射取得・遮蔽

これらが一体として機能して初めて、快適な家になります。


地域工務店が考える断熱構成は、 「高い材料を使うこと」ではなく、 家全体として過不足がないことを目標にします。


① コストと性能のバランス型 【高性能グラスウール+丁寧な施工】


最も多くの施主におすすめしやすいのが、 このバランス型の断熱構成です。

ー構成の考え方ー

・壁:高性能グラスウール(16k〜24k)

・天井:吹込み系または高性能グラスウールで厚みを確保

・床:押出法ポリスチレンフォーム等

・気密:断熱材自体の施工精度を重視

この構成のポイントは、 材料より「施工」に重きを置くことです。


ーなぜおすすめできるのか ー

・材料コストが過度に上がらない

・修繕・改修がしやすい

・経年変化を把握しやすい

地域工務店が現場管理を丁寧に行うことで、 数値以上に「体感の良い家」になります。


ー向いている施主 ー

・断熱も大切だが、全体予算も重視したい

・地域工務店の施工力を信頼している

・将来のメンテナンス性も考えたい


② 寒暖差対策重視型 【充填断熱+付加断熱】

次に紹介するのは、 断熱性能を一段階引き上げたい施主向けの構成です。

ー構成の考え方 ー

・内部:繊維系断熱(グラスウール等)

・外部:押出法ポリスチレン系(熱橋対策を重視)

・屋根:押出法ポリスチレン系(熱橋対策を重視)

・床:押出法ポリスチレンフォーム等

・気密:外張り断熱側施工精度を重視

付加断熱を行うことで、 柱や梁による断熱欠損を減らし、 家全体を均一な温度環境に近づけます。


ー地域工務店視点での注意点 ー

・設計・施工経験が必要

・施工精度の差が出やすい

・壁厚増加への理解が必要

そのため、 「どの工務店でもできる構成ではない」 という前提で提案することが重要です。

ただ、知識や経験がないというだけで、現場での収まりに関する大工の知恵も技術力も工務店の強みです。基本的には経験のある工務店と連係することで十分に対応可能となるでしょう。


ー向いている施主ー

・冬の寒さ・夏の暑さをしっかり抑えたい

・光熱費を長期的に下げたい

・長く住むことを前提に考えている


③ 分かりやすさ重視型 【吹付ウレタン断熱+計画換気】

ハウスメーカーで標準化されやすい構成ですが、 地域工務店でも適切に使えば有効な選択肢です。

ー構成の考え方 ー

吹付ウレタンで断熱・気密を確保

換気計画をセットで設計 数値と体感の一致を狙う

吹付断熱の強みは、 性能が分かりやすいことです。


ー地域工務店としてのスタンス ー

吹付だけに頼らない 将来の改修を見越した配線計画

過度な性能アピールをしない

「吹付=万能」と誤解させない説明が、 工務店の役割になります。


ー向いている施主 ー

・断熱性能を数値で確認したい

・ハウスメーカーと比較検討している

・初期性能を重視したい


④ 暮らし優先型 【断熱+日射取得・遮蔽を重視】

地域工務店ならではの提案として、 断熱材だけに頼らない構成も重要です。

ー構成の考え方 ー

・南側から冬の日射を取り込む

・夏は庇・軒で日射を遮る

・断熱は過不足なく

この構成では、 断熱材のグレードを極端に上げなくても、 自然エネルギーを活かした快適性が得られます。


ー地域工務店の強み ー

・立地条件を読み取れる

・周辺環境を踏まえた設計

・画一的でない提案

これは、 地域に根ざした工務店だからこそ可能な断熱構成です。


断熱構成で失敗しないための考え方


どの構成を選ぶにしても、 次の視点は共通して重要です。

・断熱材だけで判断しない

・気密・換気とセットで考える

・住み始めてからの使い方を想像する

断熱は、 住み始めてから毎日実感する性能です。

様々な構成で検討しましょう。


「おすすめ断熱構成」は一つではない


地域工務店が考えるおすすめ断熱構成とは、 「最も高性能な構成」ではありません。

・その地域に合っているか

・その家族の暮らしに合っているか

・長く維持できるか

この3つが揃ったとき、 初めて「おすすめできる断熱構成」になります。


断熱は、 家づくりの土台です。 そしてその土台をどうつくるかには、 工務店の考え方がはっきり表れます。


数字だけでは測れない部分を、 きちんと説明し、 納得したうえで選んでもらうこと。

それが、 地域工務店としての断熱提案の価値なのだと思います。

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