注文住宅における子供部屋の考え方

query_builder 2026/01/19
コラム
使われなくなった子供部屋

「最初からつくる」よりも「本当に必要か」を考える


注文住宅の打ち合わせで、子供部屋は必ず話題に上がります。

「子供は何人になるか」

「一人一部屋必要か」

「将来はどう使うのか」

多くの親が、正解のない問いに悩みながら間取りを決めています。


しかし実際に住み始めてから振り返ると、 子供部屋は

“必要だった時期”よりも“使われなかった期間”

の方が長かった という声も少なくありません。


子供部屋は「何部屋必要か?」ではなく、 家族の成長に合わせてどう位置づけるかを考えるべき空間です。

この記事を書いた人

宮下 和大 / Takahiro Miyashita

一級建築士 / 一級建築士事務所 宮下建築 開設者
らくがき設計事業部 主宰(静岡県・伊豆の国市)

大工歴50年以上の父とともに工務店を運営し、「らくがきからはじまる家づくり」をコンセプトに 、新築住宅・リフォーム・リノベーション・タイニーハウス・中古住宅+インスペクションまで幅広く手がける一級建築士。

住宅はもちろん、社寺などの非住宅建築にも対応し、設計から施工まで一貫した家づくりを行っています。

私たちが大切にしているのは、施主の想いを最大限に生かす“施主主導の設計”。
間取りの検討から素材選びまで、施主が「自分で設計した」と実感できる家づくり体験を提供しています。
デザインだけでなく、コスト・断熱・耐震など建築の基本性能もしっかり押さえ、ライフスタイルに合った
“ちょうどいいサイズ”の住まいをご提案。地元工務店ならではの柔軟な対応と長期的なサポートで
安心して暮らせる家づくりを目指しています。

一級建築士(大臣登録361765号) 既存住宅状況調査技術者(インスペクター) 木造住宅・リフォーム設計 / 監理 伊豆の国市・函南町・伊豆市・三島市・裾野市・御殿場市・沼津市.etc
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子供部屋は「最初から必要」ではない


まず前提として知っておきたいのは、 子供が自分の部屋を本当に必要とする時期は、思っているより遅いということです。


乳幼児期から小学校低学年くらいまでは、

・一人で長時間部屋にこもらない

・親の気配がある場所を好む

・遊びも学びもリビング中心

というケースがほとんどです。


この時期に立派な子供部屋を用意しても、

・おもちゃ置き場になる

・洗濯物の一時置き場になる

・ほとんど使われない

といった状態になりがちです。


「部屋がある=使う」わけではないという現実を、まず受け止める必要があります。


リビング学習がもたらすもの


近年よく聞かれる「リビング学習」は、 単なる流行ではなく、住宅の使われ方が変わってきたことを反映しています。


リビングで学習することで、

・親の目が自然に届く

・分からないことをすぐ聞ける

・勉強が特別な行為にならない

といったメリットがあります。


特に低学年のうちは、

・集中力が長く続かない

・一人だと不安になりやすい

ため、個室よりも家族の気配がある空間の方が落ち着く子供が多いのが実情です。


このことからも、 「子供部屋=勉強部屋」という前提は必ずしも正しくないと言えます。


親と一緒に寝る時間の価値


もう一つ見落とされがちなのが、就寝のあり方です。


日本の家庭では、 小さいうちは親と同じ寝室で川の字で寝る というスタイルが一般的でした。

これは単なる習慣ではなく、

・夜の不安を減らす

・生活リズムを整える

・親子の信頼関係を育む

という点で、大きな意味を持っています。


実際、 「いつの間にか一緒に寝なくなった」 「気づいたら自分の部屋で寝るようになった」 という家庭も多く、子供は成長とともに自然に自立していくものです。


この前提に立つと、 子供部屋を「寝るための個室」として最初から用意する必然性は、決して高くありません。


子供部屋は「成長に応じて意味が変わる」


子供部屋の役割は、年齢によって大きく変化します。

・幼少期:ほとんど使われない

・小学校低学年:遊び・収納中心

・高学年〜中学生:勉強・プライベート

・高校生以降:完全な個室

この変化を無視して「最初から完成形」をつくってしまうと、 長期間にわたって使いづらい部屋になってしまいます。


だからこそ大切なのは、

・最初は一つの大きな空間

・必要になったら仕切れる

・使い方を変えられる

といった、可変性のある計画です。


「一人一部屋」が本当に必要か?


「子供には一人一部屋」という考え方は、もはや絶対条件ではありません。

兄弟姉妹で部屋を共有することで、

・コミュニケーションが増える

・生活音に寛容になる

・協調性が育つ

といった側面もあります。


もちろん思春期には、

・プライバシーが必要

・自分だけの空間が欲しい

という気持ちが強くなりますが、それは一生続くわけではありません。


注文住宅では、

・将来仕切れる設計

・ロフトや書斎的スペース

・セカンドリビング的な逃げ場

などを組み合わせることで、 「一人一部屋」に固執しない選択肢も十分に考えられます。


子供部屋の位置は「家族との距離感」で決める


子供部屋の位置を考える際、 「2階にまとめる」「親の寝室の隣にする」など、形式的に決めてしまいがちです。


しかし本当に重要なのは、

・何歳くらいまで見守りたいか

・どの程度の距離感を保ちたいか

という家族の価値観です。


例えば、 低学年までは親の気配が近い場所 、成長したら少し距離を取れる配置 といったように、 心理的な距離を段階的に変えられる間取りが理想的です。


子供部屋は「家族の余白」でもある


子供が巣立った後、子供部屋はどうなるでしょうか。

・物置になる

・使われない部屋になる

というケースも少なくありません。


しかし視点を変えれば、

・書斎

・趣味室

・来客用

・在宅ワーク用

など、暮らしの変化を受け止める余白にもなります。


だからこそ子供部屋は、

・専用用途に縛りすぎない

・汎用性のあるサイズ

・家全体とのつながり

を意識してつくることが大切です。


子供部屋は「今」ではなく「これから」を考える


注文住宅における子供部屋は、 「今、必要かどうか」で判断する空間ではありません。


・子供の成長

・家族の関係性

・暮らし方の変化

これらを受け止めながら、 役割を変えていける器として考えることが重要です。


リビング学習も、親と一緒に寝る時間も、 やがては終わりが来ます。


しかしその時間は、後から取り戻すことはできません。

子供部屋をどうつくるかを考えることは、 どんな家族の時間を大切にしたいかを考えることでもあります。


「部屋を与える」ことよりも、 「成長を見守れる住まい」をつくる。 そ

れが、後悔の少ない子供部屋計画につながるのではないでしょうか。

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